映像07
「夫はなぜ死んだのか 過労死認定の厚い壁」 2007年12月9日放送 制作毎日放送
この映像は地方の時代映像祭グランプリに輝く
勝者の蹉跌
王者トヨタが苦境に立っている。
改善運動・{QC」で、品質と売り上げで世界一を誇った企業だ。
欧米でアクセルペダル関連で700万台を超す不具合が発生、リコールを決めた。
昨年8月米カッリフォニアでレクサスが急加速し4人が死亡した事故から、10月以降リコールがらみの発表が繰り返された。共同通信によると米テレビでキャスターが「清廉で頼りがいのある一流ブランドだったのに、毎週のように女性が現れてゴルフクラブを置かざるを得なくなったウッズの騒動を再現しているようだ」と話したそうだ。
従業員の「自発的献身」を動員する事で大きな競争力を発揮した。会社の生産性の向上は賃金アップとバーターされるはずだった。
内野健一さんの職場もプリウス生産現場だった。過労死するまで働いた従業員。拡大に次ぐ拡大で世界一になったとたんに、世界一のリコールが待っていた。
市場主義の急先鋒企業・市場の勝者を大きな蹉跌がおそった。
絶え間ない原価低減、絶え間ないリストラ、絶え間ない正規から非正規への代替え、ワーキングプワーの急増。
明日の生活さえおぼつかない人々の裏で、企業の内部留保は2008年度で428兆円のも達するという。企業栄えて民滅ぶ。
勝者の企業がリコールの大波を受ける。日本にとってトヨタは大事な企業である。この苦境のなかから、市場原理主義でなく、従業員や顧客を大切にした企業に生まれ変わることを願う。
1950年代半ばから40年も続いた日本型システム(日本型雇用関係)。終身雇用制・年功賃金・企業別組合。1990年半ばこれらのシステムが突然崩壊した。市場主義への転換である。荒々しいリストラが職場を吹き荒れる。
だが40年も続いた雇用関係の中で生まれた「自発的献身」は残った。報われることはないが「頑張る」という言葉は残った。
頑張るという言葉しか知らない日本人.
90年代は職場の末端までコンピーユータが行き届き、生産工程は極端に単純化された。単純作業の分野が急速に拡大し、正規から非正規への代替えが進んだ。サービス残業に見られる自発的献身と最先端のコンピュータ技術が組み合わされた。
頑張れば何とかなる時代が過ぎ去った。
息つく暇もなく働く、家族より会社を優先して生きてきた人たちに、全部ツケ自分に返ってきた。
会社が社会での唯一の接点となり、会社を辞めれば社会との接点が無くなる。正社員であろうが派遣社員であろうが社会から孤立する。
阪神大震災で家が壊れ埋もれたが助かった人は16万4千人と推計されている。
そのうち12万9000人(79%)が自力で脱出。
自力で脱出できない3万5000人の内26950人(16.4%)は家族や地域の人に助けられた。
残りの8050人は消防・警察・自衛隊に助けられた。(4.9%)
(このデータは関西大学教授 河田恵昭氏作成。2010年1月17日毎日新聞 五百旗頭 真氏の文章から孫引き)
少しの支援があれば多くの人が自ら苦境を脱する事ができる。
社会から孤立すれば、孤独死、無縁死、災害死でも地域家族からの支援を得ることができない。
会社での過労やパワハラで被災した人はどうなるのであろうか。うつ病でなくても、がん、心臓疾患、脳疾患で倒れるとどうなるのであろうか。
多くの人が職を失う。職と共に社会との接点もうしなう。介護のため退職を余儀なくされる人は毎年10万人を超える。
自己責任ではなく社会の責任だ。
地域、家族のつながりを作る事は生活を支える為にもとても大事です。
仕事の関連して病になったり、障害を被られたならば、労災申請が必要です。
労災はなかなか認められないので、敬遠しがちですが正当な権利の行使と共に、他に被害を受けている人とのつながりを作る為にも是非行動して欲しいと思います。
あきらめない労災申請はここからakiramenai.pdf へのリンク