ホームヘ


治療に専念する時期
 治療に専念する時期は、肝心要の時期です。ここをくぐり抜けることが早ければ早いほど職場復帰が可能になります。
「うつ」の場合自宅療法が一般的です。ところが自宅療法では、良くなるどころかかえって悪化するケースが目立ちます。
入院治療がベストです。
@「うつ」になり休職してしばらくの間は、あらゆる事にとても敏感になり(何でも気になりだし)ゆっくり休めないことがあります。
 自分一人になれば、今まで会社一筋の時期には、感じることが無かった事が、気になります。

 自分は病気になった
 自分は人に迷惑を掛けるだけのものになった。
 一家を養う義務を果たしていない

 「健康第一」
 「自分の健康は自分の責任」
 「人に迷惑を掛けてはいけない」
 「男は一家を養わなければならない」
 「子供や家族の前では毅然としたい」

 こうした世間の物差しが、あなたを苦しめます。
 散歩に出れば近所の人と出会います。「今日もお休みですか?」など。会社の同僚と合うのも気まずく感じます。
 これでは休職しても心が安まることがありません。

A休職中、心が安まらなければ、大事にしたい人までつい攻撃してしまいます。うつという病気は人の攻撃性を引き出す作用があるようです。
 人を誹謗中傷し始めると、それが止まらなくなるのです。攻撃した後とても後悔します。その後悔が不安と自身喪失をもたらし、また攻撃を繰り返  します。「オマエのセイで病気がより悪くなった」など、こうした攻撃を受けた人は、怒りを抑えるのに苦労します。家庭内が修羅場となってしまう危 険があります。こうした事の対処は、家族ではなかなか大変です。
B作家の・スタイロン氏はうつで入院した時「入院後何日もたたないうちに自己破滅の幻想がほとんど消えてしまったのを発見したのは驚きだったが、これも又病院が作り出すことの出来る鎮静効果、精神に平和を取り戻せる聖域としての病院の直接的な価値を実証している。」(W・スタイロン著見える暗闇」新潮社113ページ)とのべている。

入院治療契約書のサンプルを下記に示します。(八王子病院の例です。)

一般の精神科開放病棟に入院する場合
ストレス病棟は数が少なく経費もかかるので敬遠したい場合、一般の精神科開放病棟に入院する方法があります。
この場合、3割負担で30万ぐらいになりますが、高額療養費制度を利用すると、収入により差が在りますが、10万円までですみそうです。
「70歳未満の人で標準報酬月額が53万円未満で非課税所帯でない方の場合、80100円+(医療費−267000円)×1%」

なぜ入院治療が少ないのでしょうか

@精神科の病院は閉鎖病棟に代表される負のイメージがあります。また「うつ」の患者がゆっくり休める専門病棟が少ないのです。
 現在ストレス病棟を持つ病院は10軒程度と言われています。(このページの最後の一覧表があります。)
A入院代が高い事もネックです。室料が1日5000円から1万円するだけでなく、毎日の食費や健康保険の3割負担分もあります。平均3ヶ月の入院としても大きな出費となります
下に高額療養費支給申請書の表を掲載します(社会保険庁でもらいます)

入院せずに過ごす場合の注意点
今までの社会的関係から距離をおき、転地療法などで、親元などで過ごすことがいい場合もあります。
自宅でも仮に入院しているような状態で過ごすことが出来れば、いいのですが、子供が小さい場合など困難もあります。「うつ」を隠さずオープンにする事で、家庭内や近所との関係を作り直します。
短くても入院して1日の過ごし方や、家族との関係のあり方を学び、自宅療養に切り替える方法もあります。
入院ではパソコン、携帯、アルコールは厳禁です。当初クスリも自己管理でなく、ナースセンターで1回ずつ確認して飲みます。出来るだけ体を動かす機会を作り、自然にふれあう時間を増やします。ソフトボールやソフトバレー、また長時間の歩行(3〜5時間)を取り入れているとこもあります。
入院であればこうした生活の基本を学ぶことができ、家族会などから家族も学ぶことが出来ます。
いずれにせよ、最初の数ヶ月で7割、8割の回復が目標です。このサイトのPDF一覧の欄に気分を毎日つけれる日記のフォームがあります。毎日つけることで、どういう時気分が落ち込み、どういう時気分が安定するかが見えてきます。

怒りや恨み、敵意、復讐心
自宅治療の場合最大の敵は、精神の安定を脅かす怒りです。怒りや恨み、敵意、復讐心が胸の中で煮えたぎっていては、療養になりません。
この気分に支配され続ければ、回復は遅くなります。恐怖、嫉妬、憎悪、恨み、どん欲、怒りの感情は他人に向いているようで、実は自分自身を最も傷つけます。怒りがこみ上げてくるような過去を繰り返し思い出す事は、怒りの感情を刺激し続けている事と同じです。どうしてもこの感情の支配から逃れることが出来ない場合、居場所を替え出来るだけ海や山や、動物に接して、一つのことにとらわれ続けている自分の姿を、より大きな自然や自分を受け入れてくれる動物とのふれあいの中で見直していく作業が必要になります。ひたすら長い時間歩くことも役立ちます。療養中は療養に徹するのが基本です。休職し傷病手当の受給するということは、病気のため社会的な行動が免除され、治療に専念する機会が与えられたことを意味します。
 病気を治す事に専念する義務があるのです。自分勝手に何をしてもいいという訳ではありません。
今病気なのは自分であって怒を向ける相手ではありません。怒りと病という二正面を処理する力はありません。どちらか一つで精一杯なのです。うつという病気は「自分の感情、気分をコントロール出来なくなった」状態です。今の自分が社会への適応能力を著しくうしなっている現実を直視し、まず自分を治そうと思うことが出発点です。(病気を認めないヒト欄もご覧ください。)

日本ストレス病棟研究会会員施設
不知火病院(福岡県0944−55−2000)関西記念病院(大阪府072−867−0051)戸田病院(埼玉県048−442−3824)
松原病院(福井市0776−22−3717)草津病院(広島市082−277−1001)ウェルフェア九州病院(鹿児島県0993−72−0055)
加也病院(福岡県092−327−0131)あさかホスピタル(福島県024−945−1701)いわき病院(香川県087−879−3533)
神経科浜松病院(浜松市053−454−5361)仁大病院(愛知県0565−45−0110)西八王子病院(東京都0426−54−4551)
西脇病院(長崎市095−827−1187)





リハビリ期
入院や安静で7割、8割回復したらリハビリにかかります。
NTT東日本関東病院の秋山 剛精神神経科部長は「鬱病は治る病気だが、職場復帰する際は段階的なリハビリテーションが不可欠」と言います。(2006年10月22日日本経済新聞)
朝から活動できるリズムづくりと「通勤」訓練を1ヶ月から1−2年かけて行う。
メディカルケア虎ノ門では1日6時間週5日の復職プログラムを行っている。復職率は9割弱という。東京以外の方にとっては、こうした短期集中型に参加するのも選択肢の一つです。
入院やリハビリのメリットは、自分の判断だけで服薬をやめたり、復帰を急いだりする時、第三者の意見を聞くことが出来ることにもあります。病気であることを認めなくない事や、復帰を焦る気持ちが復帰を急がします。復帰を急ぎすぎて、後がうまくいくケースは少ないのです。一番最初に丁寧に病気とつきあい、じっくり治す事が出来れば、再発や長期化を防止します。この病気は、中途半端に対応すると、後で大きな仕返しを受けます。リハビリなしに復帰することはとても危険です。

職場復帰前チェックシート(NTT東日本関東病院の秋山精神神経科部長作成から抜粋)

1通常出勤する場合の起床時間より2時間以上遅く起きることは

@煩雑 週3回以上
Aときどき 週に2回
Bたまに 週1回
Cほとんど無い 週1回未満

「よく眠れなかった」と感じた日が平均して

@煩雑 週3回以上
A時々 週に2回
Bたまに 週1回
Cほとんど無い 週1階未満

本や新聞を読む、TVを見るなど、集中しようとした場合

@ほとんど集中出来ない
A少し集中できる 1時間以下
Bかなり集中できる 1−2時間
C十分集中できる 2時間以上

上記を含み23項目で平均してB以上ならば職場復帰可能と判断
他の項目はA基本生活習慣(出席、身だしなみ、ルールの遵守)B作業能力(持続力、迅速さ、正確さC知的理解力(指示への理解、柔軟性、表現能力処理能力)D対人交流E心理的側面(感情のコントロール、意欲など)F総合判断です。


リハビリは職場復帰をする力を回復するためと、もう一つのねらいは職場復帰出来ると言う第三者の証明を獲得することにあります。
関東ではNTT東関東病院 、関西では宇治黄檗病院などの復職プログラムへの参加をお勧めします。地域障害者職業センターの職業リハビリテーションの専門家に相談してください。主治医の他に復職可能な証明を持つことはとても有利です。
最近企業は休職あけの職場復帰を拒否することで早期退職を強制する場合が多くなっています。第三者の証明が在れば裁判でも有利です。
また傷病回復後の復職拒否・休職期間満了による退職扱いを無効とした札幌地裁の判決がある。「休職期間満了までに従業員の傷病が回復し従前の職務に復職することが可能となった場合には、当該従業員を休職期間の満了を持って退職させることは無効である、と解釈するのが相当である。」(99年9月21日 北産機工事件)
このように休職期間満了を解雇に悪用してくる場合、就労できるという事を証明することが大事になります。
 ここまで来ると就労を焦る気持ちが生まれてきます。しかし未だ気分の変動が1日ごとにあるいはもっとと短い時間で起こる時あなたを不安にします。鬱病の回復期にも激しい気分の変動が在ります。猫の目のように自分の気分が変われば、自信を失ってしまいます。気分の変動が落ちつきを見せるまで焦ってはいけません。こうした小さな変動が繰り返される時は、再就労を遅らしてでも耐える方が賢明です。又回復期は傷つきやすい状態にあるため、いろいろな出来事や人間関係のわずかなことに大きく反応しがちです。自己を攻める気持ちが強くなったり、逆に他の人に攻撃的になったりして、サポートする人を困惑させます。この時期が過ぎ去るまで焦らずリハビリを続けていくことをお勧め致します。

リハビリ就労期

リハビリ就労は、休職しながら訓練のため職場に通うものです。
下記のような覚書に基づきます。出典は「こころの病からの職場復帰」現代のエスプリ別冊です